つくば市の民俗伝承芸能
「筑波山ガマの油売り口上」は、平成25年1月17日、
つくば市認定地域無形民俗文化財に認定された。
(つくば市認定地域文化財規則第3条)
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【認定の目的】
文化財保護法等に基づく指定文化財以外で、「つくば市内に存する文化財のうち地域の歴史として慣れ親しまれ,継承されてきた価値あるもの」を「つくば市認定地域無形民俗文化財」に認定し、地域文化の振興に活用し、市民が広く地域の歴史や伝統に触れる機会を提供する。
(つくば市認定地域文化財規則)
【保存会 設立趣意書】
紫峰筑波山は、万葉のいにしえから人々に親しまれてきた歴史ある山である。その筑波山に伝わる「ガマの油売り口上」は、筑波郡永井村の兵助、すなわち初代永井兵助によると伝えられている。
昭和21年、終戦後の混乱の中で、地元観光協会有志により筑波山の観光の目玉として「ガマの油売り口上」を広く宣伝することになった。平成11年で第51回をむかえた関東の奇祭「ガマまつり」も盛大に開催され、多くの観光客が筑波山での一日を楽しんだ。
ガマの油売り口上は、18代永井兵助さん(岡野寛人氏)の茨城国民体育大会や筑波万国博覧会、その他全国各地への出演により、さらに広く知れわたることとなった。
この伝承芸能は、つくば市のみならず、茨城県の伝承芸能であり、愛好者のすそのを広げて、後継者の指導・育成をはかっていきたいと観光協会関係者、地元有志により保存会の設置を検討されたのである。
幸いにして、現現、伝承芸能としての「ガマの油売り口上」に取り組む人たちが増えてきている。それに応えるためにも保存会を設立し、定例的に研修や情報交換が容易に行なえるようにしたい。また、そのことにより、広い知識を身に付け、技能を継承するとともに、地元の観光の活性化に貢献できるように協力をはかっていきたいと考えたのである。以上のような趣意により伝承芸能「ガマの油売り口上」保存会の設立をはかるに至った。
岡野 寛人 名誉会長
水谷 七郎 会長
青木 利夫 副会長
吉岡 久子 副会長
鈴木 博夫 事務局長
鮏川 健次
稲葉 利夫
神田 幸一
初代 永井兵助 筑波郡永井村(旧、新治村大字永井)
第2代~第15代 不祥
第16代 永井兵助 倉持忠助
第17代 永井兵助 稲葉卯之吉
第18代 永井兵助 岡野寛人
第19代 永井兵助 吉岡久子 (平成15年9月16日~)
第20代 永井兵助 金野龍一(平成23年9月16日~令和3年6月)
第21代 永井兵助 襲名者なし
〔注〕「永井兵助」の称号はつくば観光コンベンション協会から授与される。
(注)ガマの油売り口上の初代名人・永井兵助は言い伝えられているにも関わら
ず、2代目以降、15代まで名人らしい人物が実在したのか、実在したが言
い伝えられていないのか、真相は不明である。
夏目漱石は、明治45(1912)年1月1日から4月29日の間、「朝日新聞」に連
載した小説『彼岸過迄』の中で浅草における長井兵助の演武を記述している。
また、彼には明治30(1897)年に作った俳句「抜くは長井兵助の大刀春の
風」が有る。それ以外には兵助の消息に関する文献は見当たらない。
梅まつりにおける第18代名人 岡野寛人の演技
〔常陸周明のブログ〕